自分の発言は『ヘイトスピーチ』かもしれない

2.「アレは守らなくてもいいフィクションだ」表現者自身の誤謬

中国当局、BL小説執筆で女性20名を逮捕  “同性愛差別”と中国ネット上で批判も | ニュースフィア
というニュースを4月23日に捕捉しました。

二次創作だから、というのと、BLだから、ということは、切り分けて考えねばなりません。
また、彼の地でのコンテンツビジネスが、日本の版社に対してネットアクセスすらできない状況にある、許諾を得たくてもできない状況ということも、前提条件として注目したほうがよいでしょう。
さらに、当局の遣る事が、『数字稼ぎ』か『社会の不満誘導』である可能性の高い国である、という事も。

BL小説や漫画を製作したら、リアルの性行動が『乱れる』のか?ご冗談を。
『相関性は低い』という回答が最も正確です。

Twitterで、@24_589氏のツイートを見かけ、首肯しきりでしたのでこちらに引用します。

(引用ここから)
嫌な表現をすれば。ギャンブルを描いた漫画でギャンブルに興味を持ち、子供を巻き込んで一家心中、なんてケースも勿論有り得る訳である。西原理恵子はノンフィクションのギャンブルを描くのはおkで、フィクションのロリエロはダメだと主張している訳で、倫理にしても影響論にしても破綻している。
残念ながら創作者にもこの手の『自分の作品は表現の自由で守られるべき』だが『自分が嫌いな表現は規制されるべき』という意見は珍しくも無い。表現の自由=人権である以上、公共の福祉に反しない範囲で無差別に守られなければならない、道理となる。
まぁ、なんだ。最初ッから指摘している通り、創作者側も(そりゃ論理が通用しない人はいくらでもいる訳で)間違っても一枚岩じゃないし、表現規制に全面賛成な人もいる、という指摘がそのまま当てはまってるよね、という話でしかない。個人のプライオリティの話だから、それもまた自由なんですけどね。
西原理恵子が麻雀ドキュメンタリ的な漫画でようやく芽が出た頃に、『子供の読むものである漫画で身を持ち崩す人も多いギャンブルを描くなど許せん!』とか『こんな雑でいい加減な絵でプロを名乗るのは子供に良くない!』とか、子供をダシに大御所から公に文句つけられたら、どう思うかね?と。
しかもタチの悪いことに、建前はともかく当時の西原の麻雀漫画は少なからず実際の賭け麻雀をネタにしていたのは衆目の一致するところで、フィクションに比べてかなり倫理的に望ましくないのは本当のところ。まして、そんな時期に子供を抱えて頼れる親戚もない、なんて状況だったらどう思うだろうか?。
作品から読み取れる西原理恵子の性格からすれば、そんなこと知ったこっちゃ無いもんね、ぐらいのノリで気にも留めずに連載を続けただろうし、それで良いと思うのだけれど、自身がエロ漫画に対して要求している規制論がこのくらいに理不尽で強権的なものだという自覚くらいは持ってほしいものではある。
実際、プロやセミプロに対し何らかのジャンルを『描くな』という要求とは、『廃業』するか『絵柄や作品の方向性を転換』しろという主張である。そりゃ出来る人も中には居るだろうけれど、基本的には廃業するより他ない人が大半だろう。それを要求する時点で大変な人権侵害だと認識すべきである。

児童ポルノの法的な定義をCAMに転換した場合、『それでも創作物を規制したい』という主張に対しては正に『裁けないはずの欲望を裁く』という問題となる。それはそれで要求自体は出て来るだろうけれど、こういった『根本的に理不尽な人権侵害』である、という議論が少しは進んでほしいとこではある。
(引用ここまで)

「あれは他国の、それも特定アジアの話だから」
という言い方それ自体が、『表現の規制を正当化したい』人に、好材料を与えてしまいます。
Twitterで、RT経由で知った@aomarujp氏の発言がまさに言い当てております。

(引用ここから)
以前流れて来たツイート。「人間が人間を差別してはいけない事」は大抵の人は分かっている。だから差別とは相手を「人間じゃない」と思う所から生まれる。と。いつもそれを思う。在日外国人は、女は同じ「人間」じゃなかったり、BLは同じ「表現」じゃなかったりする中から。
表現規制と聞けば反対する人ですら中国姉貴逮捕と聞けば薄笑いで見てたりする「表現の自由は大事だけどあんなのは別だろ?」と。きっと「本当の差別」ってそんな所に存在するもの
(引用ここまで)

表現者自身が、
「Aはいい表現、Bは悪い表現。だから自主規制や自重『すべき』」
という誤りを犯しては、いけないのです。
自重とは、自ら進んで行うことです。先日の記事にも書きました通りですから、ここでは割愛します。

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