『ホテル・アルカディア』書評

ホテル・アルカディア著者 : 石川宗生集英社発売日 : 2020-03-26ブクログでレビューを見る»

奇妙で納得のいく物語集。星5つ。

一篇一篇のなかでは、推定されるジャンルの短編小説として、「体をなしている」し、なるほどこういう読後感を目指した掌編なのか、と納得がいく。
ところが、『都市のアトラス』で語られた『手』のように、一篇ずつの重なる部分を「重複」として意識したら。あるいは、同じモチーフ(同じ人名や、かすかな類似)を三次元的に、別の方向から接続した部分がある「繋がり」として意識した途端、事情は変わってくる。

この異質な感じは何だ?

ホテル・アルカディアには結局何が居て何が起きてどうなったのか?

その最大の謎すら、多層的に、冗談じみた短編7名義で語られる。それと、ほのめかしを含んだ未来を舞台にした物語で。

いわゆる、
「一本の、あるいは複数の糸を辿るようにして、たどりつきました大団円!」
タイプの娯楽物語を求める人にとっては、ストレスのたまることこの上ない。
だが、
「手触りすらはっきりした絹の手袋を片手に、ためつすがめつ、それを着用していた ”中身”については本当に人間だったかどうかさえ分からない」
ことを楽しむ、幻想の愛好家にはたまらない娯楽となろう。

試し読み短編を公開しました

ボーマス41では、C11,12 『飛梅レコーズ』に、小説本を委託予定。このボカロ曲から着想を得た一篇『いつか教えよう』は、『六つの物語』に収録されています。

飛梅レコーズさんのサイト→ http://tobiumerec.tumblr.com/tvm41

いつか教えよう【お試し読み全文】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10379871

PDFでも頒布中です。 六つの物語【PDF版】
https://kirimisakana.booth.pm/items/528290

pixivに小説公開しました:山に住みたい魚の話

『山に住みたい魚の話』からご覧いただけます。
cover_BL11画像

Kindle用『上級者向け触手BL11』を本日より発売しました!先に中身だけ読んでみたい方は上記からどうぞ。

この山に住みたい魚の話、ほんとうの『終わり』の話をかき上げてしまったので、もうあとは途中の紆余曲折を忘れずに描くだけです。途中で著者が死んだら、そのときはHDDからサルベージ公開を遺言しておきますので、ご安心ください。
CC=BYにしておかないと、

「耳の上にくるっと巻いた山羊角をもった、ふわふわ巻き毛の女の子が、テイのことを「おにーたん!」と呼んで懐きまくる先のお話」

なんて、私の筆力じゃあ書けない描けないものが、世の中に出られないかもしれませんからね。二次三次創作は大歓迎ですよ。

さて、ここからはあとがきも兼ねて。 続きを読む