思春期ブロッカーと異性化ホルモンの問題

ラドクリフ&ワトソンが謝罪しても「許すとは限らない」…ハリポタ原作者と出演者の「対立」が表面化(ニューズウィーク日本版)

というニュースがありましたので、表層だけじゃ見えない、深いところ問題は解説かねて連投しました。

併せて読みたい【解説】「トランス」とは? キャス報告書とは? 性自認めぐるイギリスの動向 

キャス報告書については重複内容もあるけど、こちらもお勧め。
英医療機関、18歳未満へのジェンダー関連治療に関する報告書を発表

論文もご紹介。

UKにおける44症例、重度かつ持続的なジェンダー違和を有する12~15歳の子どもの治療に用いられる二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)の研究。
思春期ブロッカーの投与は、彼らの心理学的機能、自傷思考、身体イメージに有意な影響を及ぼさなかった。
BMDとBMCは腰椎で増加し、骨強度が高いことを示したが、同年齢者より緩やかであったため、BMDのzスコアは低下した。

骨密度や強度が年齢の割に低い=骨粗鬆症や骨折のリスクが高いってこと。

オープンアクセス論文 Short-term outcomes of pubertal suppression in a selected cohort of 12 to 15 year old young people with persistent gender dysphoria in the UK

さきの論文内で、44症例中43例が、『異性化ホルモン』も導入したと書かれてる。

この『異性化ホルモン』も健康に悪影響がある。

トランス女性、年を取ったトランス男性は、骨代謝が落ちる。 骨吸収・骨形成ともに低下するうち、骨形成のスピードがより低下することで、骨粗鬆症になります。

これも、健康リスクがあるってこと。 オープンアクセス論文。 Gender-Affirming Hormone Treatment Decreases Bone Turnover in Transwomen and Older Transmen

成人トランスジェンダーが十分な情報提供を受けたうえで、リスクを踏まえてでも選択するのは「本人の自由」です。
でも未成年者に対して、『それ』を行うべきでしょうか?
私の考えは『行うべきじゃない』です。

タヴィストック・ジェンダー・クリニックの青少年向けサービス閉鎖だけでなく、UKはまだ問題を抱えてる。 『自由診療の個人医院』による思春期ブロッカー使用が法律の抜け穴的に続いてるから。
こうした話は、大人の政治思想による、未成年者への医療過誤ですよ。
不可逆的な手術だけでなく、健康被害もあるのですから。

政治的信条で、青少年に対する医療過誤を容認すべきではない。

産経新聞社から『トランスジェンダーになりたい少女たち』が出版されることになりましたね。私のあの本についての評価は以前書いた通り。著者はバイアスかかってるけど、インタビューされた少年少女、その家族は不可逆な性別変更やジェンダー治療を後悔してる。その事実の重さは変わるものではない。
どーせ出版するなら、『Time to think』だせよ、って思ってます。

ところでなぜか、こんな記事が公開されていました。

波紋広げた研究論文、トランスジェンダー伝染説はいかにして利用されたか https://www.technologyreview.jp/s/285249/how-the-idea-of-a-transgender-contagion-went-viral-and-caused-untold-harm/

内容的には、『トランスジェンダーになりたい少女たち』の著者含め、インタビュー対象の家族たちが「トランスジェンダーは感染する」という根拠のない伝説、嘘論文に騙されているという主張でした。

が、”応用トランスジェンダー研究センター(Center for Applied Transgender Studies)所長を務めるT・J・ビラード”という立場の研究者、トランスジェンダリズムを推進してるポジショントークでは? と疑いをもつに相応しい記事でした。

確かに、『トランスジェンダーになりたい少女たち』の著者、アビゲイル・シュライアーの立場にはそもそもバイアスがある。

しかしLGBTQ活動によって「ネット”も”利用した青少年の囲い込み」が行われている、という事実は変わらない。根拠論文は不正確な内容である、と指摘することはできても、『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』 というサブタイトルにある通り、あの本はSNSでの囲い込み行為も含めた、青少年への扇動、誘導を問題視している。

「トランスジェンダーを積極的に承認し、単に思春期の別の問題で精神的に揺らいでるだけの少女たちに、不可逆な性別変更を迫る」勢力があることは事実。 タヴィストック・ジェンダー・クリニックの問題をBBCが『Time to think』で指摘した通りである。

日本語でアクセスできる文字情報なら、こちらが情報多い。

・LGBTQ団体が、他の問題で悩んでいたりする青少年に、トランスジェンダーではないかと誘導して、健康被害をもたらしている。
・タヴィストック・ジェンダー・クリニックは、十分なカウンセリングをせず、実験的な思春期抑制剤→性ホルモン剤→乳房切除/生殖器官切除を行い、フォローアップをしていなかった。

タヴィストックジェンダークリニックが閉鎖 togetter.com/li/1923225

また、ショッキングな画像があることを事前に言っておくが、こういったまとめもある。

『もはやカルト宗教』ジェンダー・イデオロギーを信じて健康な乳房を切断してしまった女子高生に衝撃を受ける人達 https://togetter.com/li/1955435

現に今の日本においても、親に嘘をついてでもセクマイの集会(なぜか勉強目的の大人や青少年はお断りされ、悩めるセクマイ少年少女だけが参加を許される)に勧誘する運動『どこへ行くのと聞かれたら』がある。 このTwitterのハッシュタグは遠藤まめた(SRS手術をしていないが、性自認は男性だと言っている活動家)さんが始めた。当然ながら、その後多く批判されている。追記すると、『思春期ブロッカーは可逆的で、副作用は「少ない」』と主張し、批判もされている。(遠藤まめたさんによれば、思春期ブロッカーは可逆的で、副作用は「少ない」そうです。 千田有紀 https://note.com/sendayuki/n/nb777adcbdf54?sub_rt=share_b )

青少年を両親や公的支援から切り離し、囲い込む勢力のひとつが、
『トランスジェンダリズム(性自認至上主義。性自認がXXなら女性として扱うべきであり、性別変更手術等は必要ないとする)』
を取り入れた性的少数者のカルトではないか。

そう指摘することは、私が反トランスジェンダーではなく、 青少年の健全な育成を願う大人なら当然のことである。

トラウマや、家庭の問題によって居場所が無く、不安定な青少年は、その問題を解決する支援を受けるべきである。
『不必要な』性自認の問題へと誘導され、必要のない思春期ブロッカー(健康被害が指摘されている)や、乳房切除手術を受けるべきではない。

大人たちの政治的信条で、青少年に対する医療過誤を容認すべきではない。 そう言ってるのですよ。

経産省のトランス女性トイレ判決の話

判決はこちらから全文読めます。

トランスジェンダーの、特に女子トイレを利用したいトランスジェンダー(身体男性)の問題 『個別事例』としてはまあ今回この通りの判決な……、うん。そうなんだー……です。ただ、最高裁判決なので影響力は大きい。

「トランス女性を自称する」性犯罪者の問題は、それはそれとして存在するって話はし続けますね。

TLで見かけたツイートとしては、法学者や憲法学者は歓迎する方向。ただし、そういう人たちは『性犯罪の抑止』という観点がないし、『オートガイネフィリア(女装した自分が好きな男性。性自認は男性。性欲の対象は女性。)がトランス女性に含まれる問題』も、検討した様子が見られない。

・厚労省通達「公衆浴場は身体性別で判断を」 https://mhlw.go.jp/content/11130500/001112499.pdf… ・上記の通達では海水浴場やジムの『更衣室』については規定してない ・活動家や運動家や一部ごり押ししたい勢は、そういう話を都合よく切り取る。

という点は指摘しておきますわね。

興味深いツイートは境 真良さんの連ツイ。

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やっぱり変だよ「女性エリア使わせろ」って主張

以前も『それでTERFって言うんだ?』に書きましたが、私の考えは変わっていません。

「性自認は女性です」って言いながら勃起したひととお風呂や更衣室、トイレを一緒に使わなければならない。 自分自身もですが、親族や友人が性犯罪の犠牲になる可能性は排除したい。

「性別を気にせず使える、ジェンダーフリーのエリアを増やしましょう」
までなら合意可能なのに、
「女性専用エリアを使わせろ」
には、どんな修辞を費やそうとNOです。深刻な性別違和を持つひとには、同情を寄せるとしても。
性犯罪を防止する。その一点においてNOです。

そしてありがちな『レズ女の性犯罪だってあるじゃないか』ですが、 『女同士なら対抗可能でも、身体が男性相手じゃ骨格と筋肉の量的に無理だから、女性専用エリアがある』 とお答えします。

MtFとして権利拡張したいなら、同じMtFではない、
・オートガイネフィリア(女装が好きだが、自認は男、欲望の対象は女性)による性犯罪の予防
・諸国で起きた『女性の権利侵害』に対して「女性としてはどう思う?」を想像

少なくともこの2点に答えを用意できなくては困る。結局「自分の思うようにしたい」だけではないか。

また、『トランス女性はスポーツで無双などしていません』という主張も、事実を隠しています。端的に言えば不誠実、極言すると嘘つきでは?

例えばこんな事例:トランスジェンダーの生物学的男性が、自転車レースで優勝と準優勝

例えば介護の世界でも、『理想は』同性による介助ですよ。特に入浴介助とかトイレ介助。 でも職員の男女比から、無理な状況ってあるでしょう。 現状の介護報酬体系では職員を数揃えるのは無理なんですよ。 そこを「お互い我慢しようね」でやりくりしてる訳です。『現実今の状況で』を頑張ってる。

パス度とか関係なく、「女の子クラブ」に入れる人は入れる。けど、「身体的にそれはちょっと」な部分はお互い分離、あるいは「ジェンダーフリーエリア」で我慢する。 そいういう社会実装可能な提案なら、まぁ議論しましょうか……になる。 「ジェンダーフリーエリアを増やして」じゃないからこうなる。

「ジェンダーフリーエリアを増やして」 じゃなく、 「女性専用エリアを、女性と言い張る犯罪者かどうかも分からない身体男性に使わせろ」 だからいけない。

人々の恐怖と反発をなだめようともしない。

そういう身勝手な『理想』には同意いたしかねる。

いちいち弱者アピール、あるいは被害者ムーブととられる話を公開するのもイヤンですが。 私自身が性虐待のサバイバーだから、ではないです。

公共のトイレ使うとき、左右の個室が無人なのか確認してから入るくらいは、特別嫌な経験してなくても、やる女性はやる。女性専用エリアでもそうせざるを得ない。

トランス女性(なぜかトランス男性は静かだよね?意味深。)のお気持ちには同情し得るとしても、そこで「トランスの気持ちはこうである」を言い募っても無意味なんですよ。

「社会に法律や制度として実装したさい、ハックしてくる悪意ある人をどのように処理するか」

人々の関心はそこ。

「トランス女性は女性です、女性用エリアを使わせてください(身体は男性ですが)」 これをゴリ押しし、他国自国の人権侵害事例は無視。 今いる人々、次の世代の安心安全を脅かしてる。

「性自認は女性です」って言いながら勃起したひと …と、お風呂や更衣室、トイレを一緒に使わなければならない。「それに文句を言ったら差別」と批判されるようになる。今はその瀬戸際。

自分自身もですが、親族や友人が性犯罪の犠牲になる可能性は排除したい。ただその一点を申し上げたい。

それでTERFって言うんだ?

議論の前に用語整理。

TERF(ターフ) 元はトランス排除的ラディカルフェミニストとはトランスジェンダーに対して排除、排斥的な立場を採るフェミニストのこと。なんだけど、今では『性自認が女性なら女性です』に反対すると、ターフ呼ばわりらしい。

トランスジェンダー 私がこの単語知った当時は、身体性別と精神的に自認してる性別(性自認)が異なるひと、っていう意味だった。最近では、オートガイネフィリア(女装している自分に興奮する異性装好き性癖)も含むらしい。

で、問題なのは『性自認が女性なら女性です』。

執筆時点での戸籍法では、子供が無い&SRS施術(性別を身体的にも移行させる手術のこと、とうぜん後戻りはできない)済みである&精神科医のカウンセリングを経ている等、様々な条件をクリアしてないと、『性自認関係なく女性が女性だし、男性が男性』ですな。

私は、身体性別が女性ではないひとに、『女性用』のエリア、とくに防御の低下する『トイレや更衣室、公衆浴場』には入ってきてほしくない。
一部のトランス活動家が、「前(男性器)をはさんで浴場にはいったが何も言われなかった」などの発言をしている件など、「や、それ周囲の女性が怖くて言い出せなかっただけでは?」と思っている。

また、MtF(Male to Female、男性から女性へ変化したいトランスジェンダーのこと)当事者の声ではなく、活動家が『性自認が女性なら女性です』を推進している声が大きいこと、には危惧を覚える。

なので、『性自認だけで性別変更OK』法案を通そうとする政治的な動きには、今のうちに『反対です』を表明しておく。他の政治的信条が異なり、何ならとんでもない反動的道徳保守だろうとも、反対票を投じてくれる人となら共闘するだろう。これは表現の自由を擁護する活動とも一緒。

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Reading:性同一性障害のフィットネス会員コナミスポーツクラブを提訴

「性同一性障害のフィットネス会員コナミスポーツクラブを提訴~みんなの反応」をお気に入りにしました。

第一の感想は『失望』です。少数者にも選択肢を用意するだけでいいのに、多数派の不快を強いるコメントに。

不快原理(危害には至らないが不快だから制限できるという法律の考え方)を拡大すると、「完パスじゃないとランスが、同じ更衣室にいると考えるだけで不快だ」となる。結局のところどんな不快であれ、言ったもの勝ちで誰かの行動を制限できることになる。それは多数者の専制であって、多様性の尊重じゃないんですよ。

児童ポルノ法の解説書にでてた『不快原理』のお話が、なんでトランスのスポーツクラブ利用にまで適用できるのかって?

「不快だからナニナニの権利は抑制できる。ってかそんなんただの我がままであって人権じゃねーよpgr」

という人が呆れるほど多いからです。
仮に不快原理を論拠にできたとしても、『非常に強い不快』に限られるべきです。また、それは推論や仮定であってはならない。現実に被害を主張できるひとがいて、合理的因果関係が認められる場合に限定される。「完パスじゃないトランスが更衣室に居て居心地悪い」は『とても弱い不快』です。
私企業の約款やルール運用に、
「実際に被害者が存在して、被害を経験したことによってもたらされる特定の不快」
を論拠とした『不快原理』を持ち込むなら、誰も裁判を起こそうとは思わないでしょう。それだって、
「今ある施設の運用範囲内でこういう工夫をすれば貴方も尊重できますが如何ですか」
が欠けているから、裁判起こさざるを得ない。
「誰も不快を訴えてないのに、『他の利用者様の不快を先回りして汲み上げました』」
という企業の非、
「尊重する工夫を放棄して、少数者に不便と不快を強いることで解決しようとする」
企業、多数者の非。わたしならこの2つを非難します。

自己評価がどん底なヒトには「もし自分だったらどうよ?」が通じないので、私はこう主張します。
「完パスかそーじゃないかに関わらず、顔の美醜も何もかもさておいて、誰でも利用できる民間サービスだったら、少数派の多様性を尊重してしかるべきでしょ?」

生物学でいうところの多様性や生存戦略の適用事例ではないので、先進国の『リアル』なお話を事例として上げておきます。

“Universal dressing room”か”Universal locker room”でGoogle検索してみると良いでしょう。私が見つけたのは下記の記事。

YMCA gets gender-neutral changeroom
http://www.dailyxtra.com/ottawa/news-and-ideas/news/ymca-gets-gender-neutral-changeroom-5809

これまでは『家族用』とか『障碍者用』としていた更衣室を、改装する際「トランスジェンダーのことも念頭に置いて」、本当にどんな性別でも年齢でも使えるよう、『ユニバーサル』にしたとあります。

「小さい娘を連れたお父さんや、小さい息子を連れたお母さんも、快適に使っていただけます。」

どんな利便であれ、『幅広くユニバーサルに』提供するには相応のコストがかかります。でもそれは「少数者優遇のために少ない資源を使いやがって」ではない。少数者も尊重している、誰にも使いやすい利便性は、全員の利益になる。その視点が欠けた考え方して、男か女かという二元論で話すからおかしくなる。

先のコナミスポーツクラブの事例に戻りますと。私の疑問は二つ。
・コナミスポーツクラブにファミリー用更衣室は無いのか、あるのか。
・あるなら→トランスジェンダー利用者に対し、ファミリー用更衣室の利用をお勧めしたのか、しなかったのか。

そして

・なくても→「使用時間をずらしたりして、女性更衣室の利用を図れないか検討する」くらいはしたのかって思うんですよ。悪いな、介護施設の職員たちは「利用者主体」で考えるんでね。*grin*

自分がトランスでもないのに、どうしてここまで主張するかというと。 「少数者も尊重している、誰にも使いやすい利便性は、全員の利益になる」っていつもいつも言ってないと、世の中はすぐ「多数者にとって都合がいい」方向に捻じ曲げられるからですよ。

おまけ:参考にした本『改正児童ポルノ禁止法を考える